目次


IT経営とは

IT経営の定義

ITコーディネータ協会によると、「IT経営とは、経営環境の変化を洞察し、戦略に基づいたITの利活用による経営変革により、企業の健全で持続的な成長を導く経営手法である」と定義しています。

IT経営の定義

(図1:ITコーディネータ協会ホームページより)

IT経営の構図

IT経営を実現させるためには、経営者ならびに経営者からの命を受けた担当者(IT経営推進者)が以下の3つの領域に注力しなければなりません。

  • 変革を推進できる組織に成長させる
  • 変革構想をIT利活用で実現する
  • 関係者が同じ方向を目指すようにする
IT経営の構図

(図2:ITコーディネータ協会ホームページより)

IT経営を支える人財と役割

IT経営をリードするのは経営者

IT経営実現のためには、ITの導入だけではなく、IT利活用の成果を享受するステイクホルダー(従業員、取引先など)が「自分の事」としてIT経営に参画してくれるかどうかが鍵となります。

経営者は、リーダーシップを発揮して、IT経営の方向性を示し、ステイクホルダーにIT利活用の動機付けをしなければなりません。

IT経営の指針や目標を具体化し、経営者自らが推進することを明言しない限り、IT経営の実現はありえません。

経営資源のひとつである「情報」に関しては、経営者は、意思決定に必須な情報を自ら明確にし、その入手のための仕組みの実現に向けたリーダーシップを発揮する必要があります。 IT経営を目指す経営者は、「ITは難しい」と避けてはいけません。また、IT経営推進者にすべて任せにしたりしないことが基本姿勢として大切です。

実際のキーパーソンはIT経営推進者

IT経営の実践は、経営者だけではできません。経営者から命を受けた社内の推進者が実務を担当する場合が多いのが実態です。IT経営を進める人財または組織(チーム)を「IT経営推進者」と定義しています。

IT経営推進者の基本的なミッションは、IT経営を推進し、実現させることです。企業によって様々な職位や立場の人が担当することになりますが、IT経営推進者は、部署や役職に関係なく、IT経営に対する深い認識とその実現に向けての積極的な姿勢が必要になってきます。

IT経営の指針や目標を具体化し、経営者自らが推進することを明言しない限り、IT経営の実現はありえません。

IT経営実現のために、IT経営推進者は以下の知識とスキルを持っていることが求められます。

  • IT経営の進め方と基本原則の理解と実践ができる。
  • ITについて基本的な知識を有し利用者視点での改善や変革の実現に向けた青写真(ブループリント)を構想できる。
  • 自組織のIT経営の成熟度を理解している。
  • 企業経営、戦略に関する基本的な知識やスキル、現場の業務プロセスを理解している。
  • 社内外の変化を敏感に捉える観察力とそこから未来を洞察する力や収集情報を分析、解析する力を持っている。
  • 関係者との対話的なコミュニケーション能力を持っている。

これら全てを備えた個人がいないことは中小零細企業においては多いと思います。このような場合、組織(チーム)として対応するか、社内人財を発掘、育成して、経営者はIT経営の推進活動を積極的に支援する必要があります。

サポートはIT経営支援者

IT経営について熟知し、専門的な能力を兼ね備えた人財が社内にいない場合や、育成がすぐには困難な場合、このような能力を持った人財をIT経営推進者として招き入れるか、IT経営支援者として、外部の専門家に助言や支援を求めることが有効な手段です。

IT経営の進め方

IT経営の「進め方」については、IT経営認識領域(A)、IT経営実現領域(B)、IT経営共通領域(C)の3つの主要な活動領域に分けて進めていきます。

IT経営の進め方

(図3:ITコーディネータ協会ホームページより)

IT経営を成功に導く7つの基本原則

IT経営を実現するためには、以下の7つの視点を「IT経営を成功に導く7つの基本原則」として位置づけています。

IT経営を推進する上で、常に意識し、課題や問題に直面した際、方向性を見失わないための判断の拠り所を示すものです。

IT経営を成功に導く7つの基本原則

(図4:ITコーディネータ協会ホームページより)

IT経営の重要なフレームワーク

 

1.戦略経営サイクル

IT経営では、PDCA管理サイクルでの、計画に基づいた目標に対する達成度を評価すると共に、随時、SPDLI経営サイクルの観点で、戦略レベルでの見直しを含めて検討し評価します。

IT経営においては、PDS業務サイクルを含めた3つのサイクルを同時に回すことで、学習と成長により戦略的で持続的な経営が可能となります。このため、このサイクル全体を戦略経営サイクルと呼びます。

戦略経営サイクル

 

(図5:ITコーディネータ協会ホームページより)

2.IT経営とイノベーション

イノベーション経営サイクルは、前項のSPDLI経営サイクルを拡張したものであり、イノベーション(革新:I)の要因に気づき、育てていくための仕組みを備えています。

IT経営とイノベーション

 

(図6:ITコーディネータ協会ホームページより)

3.IT経営の成熟度

IT経営の成熟度とは、企業のIT経営実現能力レベルを示す評価指標です。IT経営では、組織の身の丈にあったITの導入と利活用が必要です。身の丈に合わないIT経営に取り組むと組織としては継続できなくなり、最悪は破綻しかねません。

IT経営を推進し企業が持続的成長をしていくためには、現在のIT経営の組織レベルを認識し、目指すべきレベルに向けた活動を行う必要があります。

IT経営の成熟度

 

(図7:ITコーディネータ協会ホームページより)

4.プロセスとプロジェクトの関係

IT経営実現領域(B)では、それぞれのプロセスにおける戦略が具体的な活動に展開され、それぞれの活動は一般的にプロジェクトとして遂行されます。各プロセスはPDCAの順で実行されます。

プロジェクトは、有期限で具体的な成果物を目的として遂行され、各プロジェクトの終結では、成果物を確認するとともに、各プロセスの冒頭でセットした目標達成の指標に届いたか評価されます。

プロセスとプロジェクトの関係

 

(図8:ITコーディネータ協会ホームページより)

セキュリティマネジメントとリスクマネジメント

セキュリティマネジメント

法制度への対応や社会的要請の変化を踏まえて、経営レベルでセキュリティ方針を策定し、組織内に浸透させなければなりません。

成果物に対する著作権や権利関係、利用者の個人情報の取り扱いに関する事項なども、法務担当者を含めた対策と管理も必要となります。

自社の状況と成熟度に合わせ、①ITなどによる技術的対策、②施設などの物理的対策、③組織の習慣づけなどの組織的な対策と、人的対策を講じて対処していく必要があります。

セキュリティマネジメントは、セキュリティ3要素(CIA)を維持することです。

セキュリティマネジメント

(図9:ITコーディネータ協会ホームページより)

リスクマネジメント

リスクとは、将来に起こりうる不確実な事象で、経営戦略・事業の遂行・プロジェクトの実行等に影響を及ぼすものをさします。

リスクマネジメントとは、発生する可能性のあるリスクが洗い出され、それぞれ発生確率と発生した場合の被害の影響度で評価され、かつ発生時の対処が考えられた状態に管理することをいいます。

リスクマネジメントの手法については、一般的なリスクマネジメントの方法論などに準拠します。

リスクの抽出を、次の4つの視点で検討します。

リスクマネジメント

(図10:ITコーディネータ協会ホームページより)

まとめ

IT経営を実現するために経営者がIT経営の指針や目標を具体化し、経営者自らが推進することを明言しない限り、IT経営の実現はありえません。しかし現状は、IT経営の実践は、経営者だけではできません。経営者から命を受けた社内の推進者が実務を担当する場合が多いのが実態です。

しかしIT経営について熟知し、専門的な能力を兼ね備えた人財が社内にいない場合や、育成がすぐには困難な場合、このような能力を持った人財をIT経営推進者として招き入れるか、IT経営支援者として、外部の専門家に助言や支援を求めることが有効な手段になります。

育成には時間がかかります。IT経営を今すぐ実現したいと思うなら、その道の専門家に助言・支援を求めるのがベストかと考えます。

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