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ランチェスター戦略とは
ランチェスター戦略の始まりは、イギリスの自動車メーカーの経営者で航空力学の研究家でもあったF・W・ランチェスター氏が1914年の第一次世界大戦勃発に刺激を受け発表したランチェスター法則が一番初めだと言われています。
その後第二次世界大戦の時に、アメリカでコロンビア大学の数学教授B・O・クープランらのOR(オペレーションン・リサーチ)チームによってさらに研究され軍事戦略のシミュレーションモデルであるランチェスター戦略モデル式が作られました。戦後、日本でも翻訳、研究され、徐々に戦略・マーケティング分野に応用されるようになりました。
約100年前に発表されたものですが、弱者の戦略・ランチェスター戦略を導入・成功した会社には、ソフトバンク、セブンイレブン、タリーズ、アサヒビールなど今や大企業や起業家なども多数存在し、今も色褪せない理論であることがそれを証明しています。
それでは、ランチェスター戦略を紐解いていきましょう。
ランチェスター戦略第1法則「弱者の戦略」
戦闘力=E(武器の性能・腕前)×兵力数
第1の法則は弱者の戦略とも呼ばれ、1対1の戦いで、「一騎打ち戦」のことを指します。
図1のA軍とB軍ともがE=1(武器の性能や腕前が同じ)とした場合、例えば、A軍5人とB軍3人が、例えば、3人は互いに相撃ちとなり、5-3=2でB軍が全滅した時にはA軍は2人残ることになります。
つまり、兵力の多い方が多い分だけ残り、勝利するということになります。一騎打ちの戦いで勝利するためには、①兵力数を増やすか、②武器の性能や腕前上げることが必要。それができなければ、戦力を分散せず、一転集中し突破する戦略をとる必要があります。
これがランチェスター戦略の第一の法則になります。
ランチェスター戦略第2法則「強者の戦略」
戦闘力=E(武器の性能・腕前)×兵力数(2乗)
第1の法則は1対1の個別戦であったが、第二の法則は集団戦になります。2乗がつくことから「二乗の法則」とも呼ばれています。
図2のA軍とB軍ともがE=1(武器の性能や腕前が同じ)とした場合、2乗のため、例えばA軍5人とB軍3人が戦った場合、5(2乗)-3(2乗)=16=4(2乗)で、B軍は全滅した場合、第1の法則ではA軍は3人残りましたが、第二の法則では、4人残ることになります。
兵力数の多い場合は、第2の法則で戦った方が、はるかに有利です。兵力数が多いほど、その差は広がっていきます。そのため強者の戦略とも呼ばれています。
「強者の戦略」と「弱者の戦略」
ランチェスター戦略の特徴として、「弱者の戦略」と「強者の戦略」と立場の異なる戦略をもっている点にあります。
そしてどんな業界でも「強者」と「弱者」が存在します。大企業は強者で、中小企業は弱者なのでしょうか?
簡単に言えば、強者は1位のみ、1位以外は弱者になります。
では、強者と弱者、何をもって判断するのでしょうか?
市場や地域で1位なら強者、それ以外は弱者
企業全体の売上規模で強者や弱者が決まるわけではありません。強者、弱者はあくまでも地域のマーケットシェアで決まってきます。
例えば、沖縄で有名なビールメーカーであるオリオンビール。キリンビール、サッポロビール、サントリービール、アサヒビールなど数量・売り上げともに他4社から大きく離されていて、国内シェアは1%未満とも言われますが、沖縄県内でのシェアは50%越えています。沖縄ではオリオンビールは強者になります。
小売・サービス業の場合には、その店の商圏内順位で強者と弱者が決まってきます。
基本は弱者の戦略を取る
強者か弱者か判断に迷うのであれば、基本、弱者の戦略を取ります。弱者が誤って強者の戦略をとってしまった場合のミスに比べれば、はるかに大きくなるからです。
新規市場の参入は弱者である
新規市場に参入する企業や新店の場合はもちろん弱者です。ですので、弱者の戦略をとる必要があります。
1位になったら、強者の戦略へ
弱者の立場から逆転し1位になったら、すばやく強者の戦略に切り替えなければなりません。立場が変われば、とる戦略も変わる必要があります。
簡単ではありますが、ランチェスター戦略についてご紹介させて頂きました。
また、ランチェスター戦略については多数の書籍も出ていますので、あわせてお読みいただくことをお勧めいたします。